「子供の粘土遊びのような感じで、好き勝手に作っているのです。自分だけのものを、試行錯誤しながら生み出せたらと思っています。同じようなものを作るとどうしても最初が一番なので、なるべく一本、一本のものを増やすようにしています。焼きあがってしまうと、次はどうなるかが関心で、作品をとっておくことはしない主義なので、過去のものを参考にすることもありません」
−作品のアイデアはどういう風に思いつくのですか。
「子供の絵がヒントになることがあります。あとは散歩して空を眺めたときなどでしょうか」
−成型にロクロは使いますか。
「少しは使いますが、手で直接、形にとらわれず作ることが多いです」
−作品は形が自由なだけでなく、力強く、どっしりとしていますが、焼き方に工夫があるのですか。
「中が空洞でないので、とにかく時間をかけて辛抱することです」
−ところで、陶芸をやろうと思ったのは。
「小さいころからモノを作るのは好きでしたが、唐津にいた時、陶工の古舘五郎(故人)という人とめぐり会いました。半身不随で片腕で仕事をしていましたが、楽しみながらモノをつくり欲のない人でした。
無名でしたが一番影響を受けた人で、その人を見ていて、焼き物をやろうと決心しました」
−周辺には古唐津の窯もあるそうですが、古唐津を意識はしません
か。
「一部は近くから土を掘り、釉薬も唐津焼に似たものを使っていますし、古い形に興味もあります。しかし、それにとらわれたくはありません」
−佐賀は、唐津、有田など焼き物が盛んですね。
「(団体など)無所属ですし、他の人のことは気にしないようにしています」
−最近は人気が出てきたそうですね。
「一時は生活が大変だったのでありがたいのですが、以前の方が本当に好きな方が来てくれたような気がします。でも自分の好きなことばかりしたら売れんようになるのではないですか。一方で、売れないとホッとする気持ちもありますが」