白山陶器
 
白山陶器本社(波佐見)
   
 私はかつて佐賀に滞在し焼き物をいろいろ見回っていた。そのころ、森正洋氏の名は知っていたが、あまり好きになれなかった。森氏はデザイナーで、その作品は機能とデザイン重視の、焼き物でもいわゆるクラフトという部類に入る。佐賀なら、やはり伊万里、有田の伝統を受け継いだものが素晴らしく感じられ、伝統や地域から離れた作品は、工業製品のような無機的なイメージがあり、評価する気になれなかったのである。
 ところが先日、日本橋の三越の家庭用品売り場で、偶然白山陶器の製品を目にし、新鮮な驚きにうたれた。どれもデザインが優美で精巧に作られ、それでいて値段が安い。久々に焼き物で発見があった。
 白山陶器は、森正洋氏が1956年から1978年まで在籍し、退社後も2005年に他界するまで顧問デザイナーをつとめたメーカーであり、森氏の作品を製造しているといってよい。
 なお、白山陶器は長崎県波佐見町にある。波佐見は有田の隣で、波佐見焼の産地である(実際は有田焼として販売されることが多いが)。
 早速、南青山にある白山陶器のショールームに出向き、取引をお願いすることにした。そしてこの10月下旬から、わがギャラリーに製品が並ぶことになった。
 確かに伝統的な有田焼とは異質である。しかし、そのデザイン力には不思議な魅力があります。毎日の食卓が軽快に、気分も軽くなるでしょう。